2013年11月17日日曜日

清時代の書ー碑学派(東京国立博物館、書道博物館)

上野の東京国立博物館と、鴬谷にある台東区書道博物館で共同開催された、清時代の書に関する展覧会。

清時代には、青銅器や石碑に書かれた文字に注目し、漢字の原点に帰ろうとした、碑学派という人々が現れた。

鄧石如は、その碑学派の祖といわれるが、その鄧石如の生誕270年を記念した展覧会だった。

古い青銅器には、漢字が最初に作られた、象形文字としての特徴がよく残っている字が刻まれている。そうした雰囲気を残しているのが、いわゆる篆書。

鄧石如の篆書には、物の形をそのまま表そうとした、象形文字としての漢字の原点が、如実に表れている。

その一方で、鄧石如の書いた行書、草書は、大胆に線を縦にあるいは横に伸ばして書いて、一転して革新的な様相を見せる。

展示されていた、他の作家のいくつかの作品には、石碑などの写しと、その下に、石碑に書かれた文字を忠実に筆で描いた書がある。碑学派とはなにか、これほどよく説明するものはないだろう。

清は、満州族が明を倒して征服した王朝。清の皇帝は、中国の伝統文化に敬意を払い、碑学派の運動にも理解を示した。

しかし、碑学派の人々の心の中には、異民族に支配されている現状を、快く思わず、古代の自分たちの王朝に思いを馳せ、いつか、異民族の支配を終わらせたい、という思いがあったのに違いない。

2つの会場に並べられた、多くの篆書を見ながら、そんな思いにとらわれた。

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