2013年4月14日日曜日

源氏絵と伊勢絵(出光美術館)

源氏物語と伊勢物語。平安時代に成立した2つの歌物語は、日本の絵画史の中でも、特に描かれることの多いテーマだ。

平安時代以降の貴族も、鎌倉時代以降の武士階級の人々も、絵師達に好んで、この2つの物語をテーマにした、屏風絵などを数多く描かせた。

岩佐又兵衛の、源氏物語 野の宮図と、在原業平図。衣装や背景は違うが、顔は兄弟のようにうり二つ。

土佐千代作と伝わる源氏物語屏風。土佐千代は、15世紀から16世紀に活躍した、土佐光信の娘。本当に彼女の作品家は不明だが、女性の絵師の作品は珍しい。

土佐光吉らによって描かれた、源氏絵、伊勢絵は、代々の土佐派によって、同じ場面が、ほぼ同じ構図で描かれ続けた。

それは、まるで工芸品が、代々同じ形で作られるのと似ている。絵師の家にとって、技術そのものだけでなく、結果として描かれる絵そのものも、代々守られるべきものだった。

それは、能や歌舞伎の所作、笛や太鼓の音が、代々継承されてきたのと同様だ。

狩野探幽が、賢木、澪標の場面を屏風に描いた源氏物語絵巻。右の屏風は、右上から左下のかけての中心線を境に、ほとんどの場面が右下に描かれ、左の屏風は、ちょうどその反対の構図になっている。

俵屋宗達の作と伝わる、伊勢物語図屏風。土佐派や狩野派と違い、抽象的な表現で風景が描かれ、人物もシンプルな描かれ方をしている。

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