2013年4月20日土曜日

住友グループ秘蔵名画展 花(泉屋博古館分館)

花は、画家が描く題材として、最もポピュラーな物の一つだ。

その描き方に、画家の特徴がよく表れる。

六本木の泉屋博古館分館で開催された特別展では、ヨーロッパと日本の画家達が描いた花の絵画が展示された。

第一展示場の最初に展示されていたのは、アンリ・ファンタン・ラトゥールのばら。保存状態が悪かったのか、全体にくすんでいる。目の前にある対象を、忠実に描いている。

その後は、日本の洋画家、日本画家たちの花の絵が並んでいた。

鈴木信太郎、梅原龍三郎、安井曾太郎ら、洋画達の花や静物画は、ゴッホ、マチス、ピカソらの影響の後が色濃く感じられる。

この展覧会のパンフレットにも使われている、岡鹿之助の捧げもの。パンジーの花が美しい色使いで描かれている。

パンジーの一つ一つの花が、まるで子犬の表情のように描かれている。

安田靫彦、速水御舟、小倉遊亀らの日本画家の描く絵画は、伝統的な手法を使いつつも、色使いや構図には、やはり、ヨーロッパ絵画の影響を感じる。

安田靫彦の鬱金香。鬱金香?しかし、描いてあるのはどうみてもチューリップ。チューリップの和名を鬱金香ということを、寡聞にも初めて知った。

第2会場にうつり、こちらも最初には西洋画家の作品。ベルナール・カトランの駕籠の上の花。

そこでは、色と形が完全に分離している。画面は、ピンク、赤、黄色の3色にタイル状に分離されていて、駕籠の上の花は、色の上に表現された微妙な絵の具の凹凸で表現されている。

中川一政の薔薇を始めとした静物画のいくつかの作品。実に自由な筆使いで、対象の色と形を表現している。

終わり付近には、アンドレ・ボーシャンの野花。ボーシャンの独特の素朴な表現で、緑に囲まれて、いくつかの黄色い花が、並んで描かれている。

ヨーロッパ、日本の画家達による花を中心とした静物画の数々。そこに描かれていたのは、対象の花々、というよりも、画家達それぞれの世界観、ともいうべきものだった。

0 件のコメント:

コメントを投稿