2013年4月29日月曜日

暮らしと美術と高島屋展(世田谷美術館)

高島屋が、多くの美術品を所有しているのは知っていたが、これほど多くの画家の作品を目にするとは、思わなかった。

横山大観と下村観山が競作した竹の図。左側の屏風には、大観の真っ直ぐ伸びた竹。右の屏風には、観山の丸を描いて伸びる竹。いずれも、金屏風に、黒い墨だけで描かれている。その絵から伝わってくる緊張感は、ただものではない。

呉服屋だった高島屋は、その下絵を描く画家たちと深い関係にあった。竹内栖鳳が、下絵として描いた、ベニスの月。この絵は、ビロードの友禅にしたてられ、海外の展示会に出品され、好評を博したという。

棟方志功の油絵。弘前城の中にある門を描いている。色鮮やかな絵の具の一筆が、まるで、彫刻刀で彫られた木版のように見える。

河井寛次郎の陶器も何点か展示されていた。高島屋は、柳宗悦の民藝運動にも共鳴し、店内で、何度も民藝関連の展覧会を開催した。

他にも、富岡鉄斎、梅原龍三郎、中川一政、岡本太郎、東山魁夷、平山郁夫、らの錚々たる名前が並ぶ。

会場の近くの、玉川高島屋では、関連企画として、大阪の高島屋資料館の作品が、特別に、無料で展示されていた。

2メートル四方はあるだろうか、横山大観の蓬莱山。右下半分は、中国の山水画のような風景があり、左上半分には、雲の上に富士山の山頂がのぞいている。

高島屋のシンボルである、薔薇を、小倉遊亀などが描いている。

高島屋は、大名家から、多くの能衣装などを買い漁った。展示会場には、井伊家、前田家、毛利家などが所有していた、きらびやかな能衣装が並んでいた。

百貨店とは、よく言ったもので、そこには、一般の消費者が購入することができる、ありとあらゆる商品が、売られている。

現代の社会においては、美術作品も、しょせんは、商品だということを、この展覧会では、あらためて、思い起こさせられた。

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