三井記念美術館で開催された、国宝「卯花墻」と桃山の名陶展。桃山時代に製作された、志野、瀬戸、織部が展示された。
志野は、全体的に肉厚。釉薬は、少しピンクがかった、クリーム系の色。形は勿論だが、その釉薬のかかり具合や、表面に描かれた絵柄が、器の個性を生み出す。
鼠志野は、文字通り、鼠色がかった釉薬が使われている。純粋な志野よりも、渋さを感じさせる。
志野の表面の絵柄は、草木や動物を、シンプルなイメージで描いているものが多い。そのシンプルさが、見ている者に、なにか暖かいものを感じさせる。
黄瀬戸は、志野とは違って、器が薄手で、釉薬もその薄さを邪魔しない。洗練された印象を与える。描かれている絵柄も、実に細かい部分まで描かれている。
瀬戸黒は、文字通りの黒。まるで楽茶碗のようだ。
織部といえば、奇妙な形をして、濃い緑の釉薬がかかっている、というイメージがある。しかし、会場には、そうしたイメージを覆す器が多数並んでいた。
展覧会の目玉は、国宝の「卯花墻」。うやうやしく、特別な場所に展示されていた。茶器は、そのの形、釉薬のかかり具合、偶然にできたちょっとした模様など、微妙な違いが、他の器との違いを生み出す。
その違いを人々が、どのように解釈するかで、その器の価値が決まる。ある器は、国の宝となり、違いがないものは、ただ普通の人々に使われる器となる。
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