2013年10月5日土曜日

色彩のラプソディー(DIC川村記念美術館)

千葉の佐倉にある、DIC川村記念美術館のコレクション展の第2段。

今回の目玉は、その豊富なコレクションで世界的に知られるフランク・ステラの作品群を、広い展示室いっぱいに展示したステラ・ルーム。

初期の、線を中心とした地味な作品と、80年代以降のカラフルでいろいろな形状をしたオブジェを組み合わせた作品が、しきいによって2つのコーナーに分けて展示され、展示室内は、文字通りのステラ・ワールドと化していた。

80年代以降の作品を見ていると、高校の学園祭で教室内に迷路を作った時に、そのあちこちに配置するために作った、意味もないオブジェのことを思い出す。

しかし、そのステラの作品よりも、私の心に残ったのは、エーリヒ・ブラウアーによる”ソロモンの箴言より”という12枚の連作版画だった。

寡聞にもブラウアーの名前は知らなかった。1929年にウィーンでユダヤ系の家系に生まれ、ウィーン幻想派の画家として知られているという。

12枚の版画は、それぞれが、旧約聖書の箴言の言葉をもとに描かれている。人間や動物、自然の風景が、幻想的でカラフルで、どこかユーモラスな感じで描かれている。

近づいてよく見ると、それぞれの絵の元になっている聖書の言葉が、キャンバスの隅に、英語とヘブライ語で書かれている。ヘブライ語の方は、それが理解できない人間には、記号のようにしか見えない。

英語で表現されているもの、ヘブライ語で表現されているもの、そして、ブラウアーの絵で表現されているもの、その3つは、似通っているようで、微妙に異なっているのかもしれない。

コレクション展ということで、他にも、線をテーマに、ジョルジュ・ブラック、ブリジット・ライリー、ジャクソン・ポロック、李禹煥、などの作家の作品が展示されていた。

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