2013年10月27日日曜日

バルビゾンへの道(ザ・ミュージアム)

東京、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催された、山形県の山寺にある、後藤美術館のコレクション展。

山寺は、松尾芭蕉が、”閑けさや岩にしみいる蝉の声”というあまりにも有名な句を詠んだ場所として知られている。私も、前に訪れたことがあったが、その近くに、そうした美術館があることはしらなかった。

ムリーリョの悲しみの聖母。涙を浮かべた目で、左上を見上げるマリアの半身図。ムリーリョの真筆かどうかには、異論もあるようだが、そのマリアの表情からは、確かに、ムリーリョの作品のように見える。

ブーシェの聖ヨセフの夢。聖ヨセフの夢の中に、天使が現れている、という作品。ブーシェの華やかなイメージとは異なり、夜ということで、背景は暗い色に描かれている。これがブーシェ?というのが素直な感想だ。

風景画家として知られるコンスタブルが、グルーズの絵を模写した、少女と鳩、という作品。グルーズの描く典型的な美しいフランス娘は、コンスタブルの絵のイメージとは全く結びつかない。コンスタブルの画家としての技術の確かさがよく表れている。

ジョン・エバレット・ミレイのクラリッサ。破滅していく小説の主人公を描いた作品。手紙を破いて、心ここにあらず、と遠くを見つめている若い女性像。小説のを読んでいなくても、そのシチュエーションは、よく伝わってくる。

ロイスダールの小川と森の風景。空の雲、画面中央の大樹、右側に描かれた小川の水の様子、そこに遊ぶ小さく描かれた牛。まさしく、オランダの空気感まで描いたような作品。

それに続き、ド・ラ・ペニャ、ルソー、ミレーなどのバルビゾン派の画家たちの作品が続いて展示される。

クルーベの波、という作品は、文字通り海の波だけを描いた作品。画面の中央に、ひと際大きな波が描かれていて、その波が、この絵の主役であることを示している。クールベの本質が表れているような作品で、実に、見応えがあった。

錚々たるそうした作品群から、後藤美術館のコレクションの質の高さが感じられた。

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