2013年7月6日土曜日

浮世絵 第1期:浮世絵の黄金期−江戸のグラビア(三菱一号館美術館)

東京の三菱一号館美術館で開催された、浮世絵 Floating World 珠玉の斎藤コレクション、という企画展。

およそ3ヶ月の開催期間を3期に分けて、すべての作品を展示替えするという、野心的な取組で、浮世絵の全体像を紹介していた。

その第1期のテーマは、浮世絵の黄金期−江戸のグラビア。菱川師宣、鈴木春信らの浮世絵の誕生期から、歌麿、北斎、写楽、豊国など最盛期の作品まで、浮世絵の入門的な内容だった。

鈴木春信の美人画。顔の表情ではなく、着物や背景で女性の個性を表現する。一度見たら、二度と忘れられない、その強烈な女性のイメージ。少女の面影を残し、男性から見た女性の軽さ、冷たさ、を併せ持っていて、それでいて何とも言えず美しい。

歌麿といえば、大首の美人画が有名だが、珍しい、蚕から着物を織るまでの過程が、横長の画面に描かれた、珍しい浮世絵が展示されていた。勿論のこと、職人はすべて、美人たち。目を楽しませながら、知識を得ることができる、といったところか。

歌川豊国が、全国の各地にある玉川の景色を背景に、ぞれぞれ一人づつの役者を全身で描いた12枚つづきの作品。

豊国の絵の上手さもさることながら、ユニークな企画の勝利でもある。浮世絵が、版元、絵師、刷り師などの共同作業から成り立っている、ということがよくわかる。

所々に、ロートレックの版画が飾られていた。日本の浮世絵が、ヨーロッパに与えた影響を、文字通り、一目で実感できた。

残念だったことは、会場のあちらこちらに、スペースが散見されたこと。

3期に分けて、すべて総展示替えするということで、そうなってしまったのかもしれないが、全期間を通じて、一度しか訪れない人は、総展示替えせずに、どんな作品でもいいから、並べて欲しい、と思ってしまうだろう。

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