2013年7月21日日曜日

せいかどう動物園(静嘉堂文庫美術館)

動物にまつわる、焼物や根付などを展示した、静嘉堂文庫美術館で行われた展覧会。夏休みに近いということで、親子連れを意識した企画だった。

絵画ではなく、陶器、香合、根付などの工芸品を中心に構成されているのが、この展覧会の特徴。時代も中国の後漢時代から現代までと多様。

ニワトリ、ウズラ、ガチョウ、カモなどの鳥。ゾウ、ライオン、タヌキ、ネコ、サルなどの獣。チョウ、カマキリ、クモ、セミなどの昆虫。カエル、エビ、アユ、キンギョなどの水辺の生き物などなど。まさに、動物園という名前もおおげさではない。

8世紀に作られた、ウマやラクダの唐三彩の存在感が際立っていた。隣には、そうした動物を縄で曵いている、ソグド人とおぼしき商人の像も立っている。

その一連の唐三彩は、すでにグローバリゼーションされていた8世紀の唐時代に、見ている者を、一気に連れて行ってしまう。

野々村仁清の白いサギの香炉、真っすぐに細い首を伸ばして、鳴いているように、上を向いている白サギを、あまり装飾せず、そのシルエットだけで見事に表現している。

同じく仁清の、色絵法螺貝香炉。地の土色の上に、青、赤、緑の山色で、法螺貝の表面をカラフルに彩っている。

白サギの鳴き声、法螺貝の音と、香合の香り。いずれの作品も、音と匂という2つの違った感覚を組み合わせた、仁清の職人としての感覚が、いかんなく発揮された作品。

1〜3世紀の後漢時代に作成された、緑彩豚舎。文字通り、ブタ小屋と、そこに暮らしているブタが1つの陶器になっている。

人間の生活から出る残飯を食べ、人間の食料にもなるブタは、中国人にとって身近な動物だった。

ブタに限らず、この展覧会に展示されている作品が作成された時代は、表現された動物達は、身近な存在だったに違いない。

現代の都会に生きる人間にとっては、身近な動物といえば、カラス、スズメ、飼い犬、野良猫、くらいになってしまった。

この展覧会の題名を、動物園、と名付けていること時代が、現代における動物と人間の関係について、人間が大きな間違いを犯してるということを、よく表している。

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