2013年12月1日日曜日

印象派を超えてー点描の画家たち(新国立美術館)

オランダにあるクレラー=ミュラー美術館の作品を中心に、後期印象、特に分割主義をテーマにした展覧会。

印象派における点描画の手法が、後期印象派を通じてオランダに渡り、ゴッホなどを通し、やがてモンドリアンの抽象的な絵画を生み出すまでを、様々な作品でその流れを辿ることができる。

会場の最初に展示されていたのは、モネの作品だった。色を線で描いて行くその手法は、その後の分割主義者たちに大きな影響を与えた。

スーラの点描画はさすがに素晴らしい。微妙な空の色合いを、スーラの点描画は見事に表現している。

スーラは、裕福な家庭に生まれ、他の多くの同時代の画家たちと違い、生活の心配をすることなく、色彩の研究と絵の作成に没頭していたが、わずか31才で他界してしまった。

しかし、その短い生涯を通じて、スーラの残したものは、あまりにも大きい。

この展覧会に展示された油絵はわずか3点だったが、十分、スーラの世界を堪能することができる。

点描画は、一般的には、色彩は上手く表現できるが、点で構成されているが故に、動きを表現することは、不得意だと言われていた。

しかし、点でなく、線を使うことで、絵を躍動的に描くことができる。ゴッホの種を撒く人、という作品は、点と線の描写を組み合わせ、色彩感が豊かで、しかも種を撒いている人の躍動感を、同時に表現している。

この展覧会は、宣伝では、どうしても、有名な、ゴッホ、スーラ、モンドリアンを前面に出している。しかし、見所は、日本ではあまり紹介される機会がない、オランダの後期印象派の画家たちが紹介されていること。

レイセルベルへ、ド・ヴェルド、トーロップ、といったオランダの画家たちは、忠実に、スーラの分割主義を継承している。中でも、ブリッカーという象徴主義の特徴を加えた画家の作品が、印象的だった。

そして、最後はピエト・モンドリアンのコーナー。

かつて、もっとも好きな画家の一人だったモンドリアン。最近は、少し熱が冷めていたが、久し振りに、まとまった数の作品を楽しんだ。

スーラの分割主義を友人を通じて学んだモンドリアンは、当時流行していた、神秘的な思想神智主義などの影響を受けながら、より抽象度を深めて行って、あの線と色だけの世界を作り上げて行く。その画風の変化を、このコーナーで追体験できた。


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