2013年5月12日日曜日

旅の文学ー紀行文にみる旅の様々(静嘉堂文庫)

本屋に行くと、たくさんの紀行本や旅行のガイドブックが、売られている。人間は、どうしてこんなに旅が好きなのだろう。

江戸時代にも、多くの紀行文や旅の記録、ガイドブックなどが出版された。

井原西鶴、貝原益軒、本居宣長など、今でもよく知られている人物から、一部の研究者や関係者にしか知られていない人まで、実に様々。

中には、愛媛の漁民が、海流に流され、アメリカの船に助けられて、ハワイを訪れたことなどが書かれた書物が展示されていた。この人物は、記録上、始めてハワイを訪れた日本人だという。

勿論、書いたのは本人ではなく、それを調べた江戸幕府の役人達だろう。他にも、大黒屋光太夫の記録や、何点かの漂流記も、展示されていた。

いずれの書物も出版は19世紀。鎖国政策によって、外国との交流を制限していた当時の日本だが、すでに、大きな歴史の流れの中に、飲み込まれようとしていた。

展示品は、ほとんどが江戸時代に出版されたものだったが、唯一、鎌倉時代に書かれた西行物語の写本が展示されていた。

現在の文庫本よりもすこし小さいサイズに、小さいサイズでびっしりと、西行の和歌や行動が書かれている。

西行は、平安時代の末から鎌倉時代にかけて、吉野、鎌倉、東北などを旅した。芭蕉をはじめ、江戸時代の多くの人が、西行に憧れ、思いを馳せた。

これからも、私たちは、多くの旅をし、記録に残し、それを書物にして、楽しんでいくことだろう。

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