2013年5月12日日曜日

魯山人の宇宙(うらわ美術館)

北大路魯山人という人物については、これまで、いくつかの文章を読んだことがあるくらいで、美食倶楽部という高級料理屋を営んでいたこと、陶器を作っていたこと、など断片的なことしか知らなかった。

うらわ美術館で開催されたこの展覧会で、もう少し、その人物像に触れることができた。

魯山人は、明治16年に京都の上賀茂神社の社家に生まれ、その後、書家になることを目指して上京した。

展示品の中には、掛け軸や焼物の壷などに、魯山人自身による、見事な文字が書かれていた。

現在のキャピタルホテル東京のあたりにあったという高級料亭、星岡茶寮を借り受けていたが、社員達と上手く行かず、やがて経営者から解雇された。

その後は、鎌倉に星岡窯を作り、陶器作りに専念した。

展覧会の展示品の多くは、そうした陶器品の数々だった。紅葉の形をした小さな器、簡素な花々の絵が描かれた平皿。

織部、黄瀬戸、志野、備前、萩、信楽、三島など、ありとあらゆる技法で作られた陶器が並び、さながら、日本の陶器展、といった趣だ。

魯山人は、織部焼きにおける人間国宝の指定を受けたが、辞退した。

母親の不貞から生まれ、父は割腹自殺し、自らは養子に出された。6度の結婚はすべて破綻したという。

その複雑な人物像の一面を、この展覧会で少しは伺えたような気がした。

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