2013年5月6日月曜日

国宝燕子花図屏風 〈琳派〉の競演(根津美術館)

国宝である、尾形光琳の燕子花図屏風。その六曲一双の屏風には、燕子花しか描かれていない。

右の屏風は、燕子花はやや上よりに描かれており、左の屏風には、上部はぽっかりとスペースが空いており、下に燕子花が描かれている。

その独特な空間配置は、尾形光琳の名前をとって名付けられた、琳派の大きな特徴になった。

伊勢物語の八橋の場面を描いたとも、謡曲の『杜若』をイメージして描いたとも言われる。

俵屋宗達の工房のブランド名だった、伊年、の印が入った四季草花図屏風。およそ70種類の花々が、六曲一双の屏風に描かれている。

悲しいことに、その中の多くの花について、絵だけからは、名前を上げることができない。

色鮮やかで、細かい筆先で景色が描きこまれた、野々村仁清の色絵山寺図茶壺に代表される、華麗なやきものの数々。

それに対して、大胆なタッチで、対象の雰囲気だけを捉えた絵が描かれた、尾形乾山の陶器の数々。

鈴木其一の夏秋渓流図屏風。金箔の背景に、苔の緑と、川の青が鮮やかに映えている。激しく流れる水の水音が聞こえてくるようだ。

鈴木其一は、江戸琳派の酒井抱一を引き継いだ人物だが、彼の没年は、明治維新の10年前。まさに、江戸時代とは、琳派の時代であった。

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