2013年8月18日日曜日

アンドレアス・グルスキー展(新国立美術館)

ドイツの国際的に著名な写真家、アンドレアス・グルスキーの写真展。

何よりも目を引くのは、巨大な広角のレンズで撮影された写真の数々。アメリカのショッピングセンター、日本のスーパーカミオカンデ、北朝鮮のマスゲーム、高層のオフィスビルディングなどなど。

オフィスビルの写真は、近寄ってみると、オフィスビルの各フロアの机の上まで、はっきりと見ることができる。

こんなの、広い範囲を、これほど細部まで鮮明に、どうやって撮影したのだろう?と、その技術力に、まず感心させられる。

それらの写真は、実際は撮影されたままのものではない。何枚かの写真をデジタル合成したり、撮影後に不要な被写体などをキレイに消し去ったもの。

本当の現実ではなく、グルスキーの視点によって、加工されたもう一つの世界だ。

被写体は、いずれも、決して目新しいものではないが、グルスキーの写真の中では、自分が思い描いているものとは、少し違って見えてくる。なにか、その対象が、荘厳なもののように見えてくる。

グルスキーは、水面を撮影するのが好きなようで、ところどころに、いくつかのバリエーションのものが展示されていた。いずれも、黒い水面に、光が当たって入る部分が、白い線や円形のような形になっている。

美術館のスタッフに尋ねたところ、グルスキーは、この展覧会の会場のレイアウトや、写真の並べ方、すべてをデザインしたという。ところどころ、迷路のようになっていて、うっかりしていると、いくつかの作品を、見逃してしまう。

作品のそばには、小さな数字のラベルが貼られているだけで、作品の名前や、撮影場所や時期などは、いっさい書かれていない。見学者は、作品リストに書かれた数字を目当てに、作品リストから、作品名や撮影場所や時期を知るしかない。

これも、グルスキー自身が、そうしてほしいと指定したという。とにかく、自分の作品以外の展示は、最小限にしたかったのだという。

この展覧会場の中は、その作品も、展示スペース自身も、すべてグルスキーがデザインしたもの。文字通り、グルスキーの世界、そのものだった。

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