2013年8月4日日曜日

特別展観 遊び(京都国立博物館)

この展覧会を訪れた時、京都では、ちょうど祇園祭の真最中だった。

京都駅は、もの凄い人出。外国から訪れた観光客の姿も目立った。

そうした人混みから脱出し、タクシーを拾い、会場の京都国立博物館に到着したが、京都駅の混乱と違って、そこは、あまりにも閑散としていた。

遊び、というテーマは、おそらく、夏休みの家族連れを意識した企画だろう。

6世紀の青銅の須恵器。肩の部分に、相撲をしている二人を象った飾りがついている。相撲は、神に捧げる神事だったが、それを見る人々にとっては、遊びの一つであっただろう。

室町時代の成相寺参詣曼荼羅図。成相寺は、西国三十三所のひとつ。遠くのお寺を参詣することは、参拝者にとっては、旅行でもあり、日常の生活から抜け出し、気分をリフレッシュできる、貴重な機会であった。

中国の南宋時代に描かれた、2枚の羅漢図。酒を楽しむ羅漢と、お茶をたしなむ羅漢。お茶もお酒も、中国では、教養のある人物が、たしなむべきものとされた。その文化は、日本にも伝わった。

長沢蘆雪の唐子図屏風。唐風の衣装を身につけた子供達が、子犬たちと戯れている。その子犬の、ユーモアにあふれた、愛くるしい表現。長沢蘆雪の、遊び心が炸裂した、見事な屏風絵。

江戸時代に盛んに作られた御所人形。20体ほどが、一カ所にまとめて展示されていた。その独特の表情は、可愛らしくも、やや不気味な感じにも見える。子供が持っている、両面の要素を、見事に写し取っている。

会場には、外国人の観光客のグループが、興味深そうに、そして熱心に、展示品を眺めていた。

遊びは、どの民族にも存在する、人間の普遍的な活動でありながら、その具体的な遊びは、その国の文化が色濃く反映されている。

どの地域の遊びを見ても、自分たちの地域に共通する要素と、全く違った要素の、二つを見つけ出せることができるのだろう。

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