2013年8月10日土曜日

モネ、ユトリロ、佐伯と日仏絵画の巨匠たち(ホテルオークラ)

ホテルオークラで、1994年より、毎年開催されている、チャリティーイベント、秘蔵の名品アートコレクション。これまで18回で、45万人の人が訪れ、その収益から1億6千万円を赤十字に寄付してきたという。

寡聞にも、これまで、全くこのことは知らず、今回、初めての鑑賞の機会を得た。

ホテルでの開催ということで、多くのホテルマンが、入り口で、朗らかに、”いらっしゃいませ”、と出迎えてくれた。他の展覧会ではあり得ない経験に、戸惑いながら、会場に入る。

ジュール・シュレの3つのポスター作品。恥ずかしながら、初めて聞く名前だった。説明資料によると、それまで文字が中心だったポスターに、初めて、躍動感のある絵を取り込んだ先駆者だという。ロートレックの先人といったところだろうか。

佐伯祐三の絵が、7点も展示されていた。ちょうど、佐伯に興味がある時期だったので、これはうれしかった。

パリに来てまだ間もない時期に描かれた、セーヌ河の見える風景。まだ、佐伯の代名詞ともいえる、看板の文字が入っていない。

死の前年に描かれた、リュクサンブール公園。こちらも、看板の文字は描かれておらず、長く伸びる道と、そに両脇に連なる、ポプラの木の描写が印象的な一枚。

ギュスターブ・モローに絵を学び、フォービズムを立ち上げたアルベール・マルケ。しかし、マルケの描くパリは、野獣という感じではない。後期印象派風の穏やかな雰囲気を漂わせている。

小磯良平のパリ風景。軽いタッチで、色も薄く、画面の前面に、建物の鉄の黒い手すりを描いている。その手すりの線が重なっており、直線の重なりが、幾何学的な不思議な印象を与える。

出口近くに飾られていた、藤田嗣治の6枚の絵。第2次世界大戦の際に帰国し、従軍画家だった時に、ベトナムの風景を描いた、仏印メコンの広野。

そこには、あの個性的な少女や、フジタの白でパリを席巻した、エコールドパリの画家の面影は、全く感じられない。藤田嗣治という画家の、もうひとつの悲しい側面が、現れている。

他にも、モネ、ルノワール、シャガール、キスリング、児島虎次郎、岡鹿之助などの作品が展示されていた。

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