2013年8月10日土曜日

LOVE展 アートにみる愛のかたち(森美術館)

六本木ヒルズにある森美術館での、開館10周年を記念した、大規模な展覧会。テーマは愛。

それにしても、この美術館のスタートから、もう10年もたったのかあ。時間のたつのは、早いなあ。

となりの森アーツセンターギャラリー美術館では、ハリーポッターの特別展が開催されており、夏休み中ということもあって、入り口の前は、ものすごい行列。その人混みの間をぬって、会場に向かった。

うーん、さすが10周年記念ということもあり、実によくうまく企画されている。非常に幅広いアーティストの作品を取り揃え、彼らがどのように愛を捉え、作品にしたかを提示し、来場者に、あなたはどの作品が好きかあるいは嫌いか?あるいは、あなただったら、どのように表現しますか?と、問いかけているようだ。

杉本博司による、文楽についての展示。10世紀に製作された十二面観音と、自らが企画した、文楽の公演、曽根崎心中の映像を展示している。

文楽では、表情のない人形を使って、男と女の愛憎劇が演じられる。その制約の多さの中で、人間の愛の形が、より濃縮されて表現される。

ゴウハル・ダシュティの今日の生活と戦争。架空の若い夫妻の、何気無い日常生活の風景を、戦車や、防空壕など、戦場を連想させる背景に撮影した、4枚の写真作品。

戦場が、つねに身近になってしまった現代社会を、強烈に皮肉った作品。写真というメディアのパワーを、改めて実感させる力作。

荒木経惟が、自らの新婚旅行での妻を撮影した、センチメンタルな旅。荒木の妻は、決して美人とはいない。その妻の何気ない表情や、ヌードが写っている。

荒木がこの写真を見る時、他人がこの写真を見る時、それぞれの人物の中で行っていることには、天と地ほどの差があるに違いない。

名高い、源氏物語絵巻の模写。展示されていたのは、宿木と柏木の帖を描いたもの。光源氏が、自らの正妻と、自分の息子の親友との不倫の末に生まれた、運命の子、薫を、そうと知りながらも、抱き寄せている有名なシーンなど。

1000年以上も前に、この物語の作者、紫式部は、人間にとって、一番大事なことは、何なのかを、その壮大な物語の中で、現代に伝えている。

そして、この展覧会で、もっとも強く印象に残った、ソフィ・カルの、”どうか、げんきで”という作品。

一つの手紙を、何人かの女性に読んでもらい、一人一人の感想を、映像、写真、文章などにして、それを部屋の中に、まとめて展示している。

一部屋を使っていたこともあり、ソフィ・カルの作品の存在感は、圧倒的だった。

会場に行くまでは、LAVO展などというふざけたその名前から、ナンパな内容だろうな、と想像していたが、とんでもなかった。

愛という、この一言ではとても表現できないものを、アーティストたちが、どのように、格闘し、表現してきたか、を体感させる、かなりハードな展覧会だった。

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