世田谷美術館で開催された、この展覧会で、キッコーマンのあのお馴染みの瓶、 成田エクスプレス、モンカフェのパッケージなどが、榮九庵憲司とGKグループのデザインしたものであることを知った。
榮九庵憲司は、東京芸術大学在学中の1952年に、助教授の小池氏の名前から取った、Group Koikeを立ち上げ、”モノの民主化、美の民主化”をスローガンに、その活動を始めた。
この展覧会では、これまでの彼らの実績よりも、現在、あるいは未来への活動に焦点を当てていた。
この美術館の通常の展覧会ではあまり見られない、まるで企業の商業的なプレゼンテーションのような、会場デザインにまず戸惑った。
そこには、手を触れることで、映し出されている地球の映像を回すことができる、大きな”触れる地球”や、瀬戸内海で運行することを想定した飛行艇の模型、超軽量のバイク、体への負担を最小限に抑えた医療器具などが、展示されていた。
次のスペースには、中央に大きな仏像が置かれた、巨大なマンダラが、場所を占めていた。マンダラの表面をよく見ると、仏が描かれるべき所に、様々な道具の絵が描かれている。
榮九庵憲司は、道具村道具寺、という構想を持っている。その広大な寺の設計図と、完成のイメージ図が、展示されていた。人間と道具が共生する社会を目指してのことらしいが、少々、やり過ぎの感がなくはない。
しかし、未来の社会を作り上げていくために、デザインが必要だという発想には、大きな共感を感じた。
美術館の2階では、染色工芸家の柚木沙弥郎の作品展が行われていた。90才を越えた今でも現役で活躍する柚木の染物は、いずれも、素朴ながら味のあるデザインと色で、真夏の暑さを忘れさせる、なにか、心懐かしいものを感じさせる。
柚木は、学徒動員から戻った戦後、民藝の柳宗悦の書物に大きな影響を受け、柳から紹介された芹沢銈介との交流から、染色工芸家になることを志したという。
柚木は、絵本の挿絵も書いている。山下洋輔や、谷川俊太郎が文を書き、柚木が挿絵を描いた絵本が展示されていた。
いずれの展覧会も、人間とモノの関係について、改めて、じっくりと考えてみたくなる、そんな内容の展示内容だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿