2013年9月15日日曜日

ミケランジェロ展 天才の軌跡(国立西洋美術館)

東京、上野の国立西洋美術館で開催された、ミケランジェロについての展覧会。

今年は、ラファエロ、ダ・ヴィンチ展が開催され、このミケランジェロ展で、ルネサンスの3巨匠の展覧会が揃って開催されたこととなった。

ラファエロ展では、数多くの油絵が展示され、ダ・ヴィンチ展では、完成品ではないが、音楽家の肖像画と、多くの手記が展示された。

残念ながら、それに比べると、このミケランジェロ点では、15才の時の小さな彫刻が一つ、あとは、断片的なデッサンがほとんどで、内容的には、ラファエロ、ダ・ヴィンチ展に比べると、やや期待はずれな内容だった。

入り口の近くに、マルチェロ・ヴェヌスティという画家が描いたミケランジェロの肖像画が飾ってあった。ミケランジェロ自身は、肖像画を一枚も描いていない。

面白いことに、ライバルと目されたダ・ヴィンチも、肖像画を残していない。しかし、二人を慕っていたというラファエロは、何枚か肖像画を描いている。

ミケランジェロの代表作、システィーナ礼拝堂の壁画。そのデッサンが何枚か展示されていた。しかし、それらは、本当に断片としかいえないものばかり。

実は、ミケランジェロは、自分のデッサンをすべて処分していた。最終的な完成作品以外が、人の目に触れることを嫌ったという。そこに展示されていたのは、何らかの形で、本人の手を離れたものだった。

ミケランジェロが、法王や自分の親類に送った手紙の数々。ミケランジェロというと、気が強く、ワイルドなイメージが強いが、いずれの手紙も、一文字一文字をはっきりと、丁寧に書いて、その几帳面な性格が伺える。

今回の展覧会の目玉ともいえる、階段の聖母、という60センチ、40センチ大の大理石のプレートの彫刻。

この作品を作った時、ミケランジェロはわずか15才だった。先人のドナテッロの作品を学びながら彫ったとという。

この展覧会から垣間見えたミケランジェロという人物は、ただひたすらに、作品と向き合い続けた、一人の芸術家の姿だった。

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