2013年6月16日日曜日

5 Rooms 彫刻/オブジェ/立体(川村記念美術館)

千葉の佐倉にある川村記念美術館。2013年度は、普段は展示していない作品を中心に、3期に分けて収蔵品展が行われる。

その第1回目は、5 Rooms 彫刻/オブジェ/立体、と題して、文字通り、彫刻やオブジェを、普段は企画展用に使われるスペースを5つの部屋に区切って、展示を行った。

ロダンの作品が置かれたRoom2を中心に、4つに部屋が取り巻いており、どの部屋にいくにも、必ずその部屋を通らなければならない、という凝った構成だった。

全体の展示の中心とも言えるロダンの作品は、それほど大きくはないが、3人の人物が、絡み合って、一見すると、丸い一つの物質のように見える、という興味深いもの。彫刻とは何か、人体とは何か、とその部屋を通るたびに問いかけてくる。

Room3は、マン・レイの”だまし卵”という作品が、圧倒的な存在感を誇っている。ガチョウの大きな卵の写真の上に、それを取り囲むように、便座のオブジェが置かれている。便座が立体的なため、目の錯覚で、卵も立体的に見えるが、近づいてみると、それが写真であることがわかる。

その他にも、身の回りの品々を使ったマン・レイのオブジェが何点か置かれている。人を喰ったように思わせて、普段は見慣れているものが、アートと呼ばれただけで、違うものように見えてしまう、というマン・レイの魔術が、その部屋には充満していた。

Room4は、カルダーのモビール作品が中心。作品にできるだけ近づいて、息を思いっきり吹きかける。すると、微妙に、そのモビールが動いた。何となく、自分と作品の距離が近づいた気がした。

彫刻やオブジェは、どの作品も、物である、というだけで、絵画とはまるで違った存在感を感じさせる。

その周りを、ぐるぐると回ってみると、その一瞬一瞬で、作品の見え方が違ってくる。

自分の身の回りのあるものが、どうしてアート作品のように見えないのか。その一方で、そうしたアート作品が感じさせる、物としての不自然さ、陳腐さは、どこから来るのか。

美術館を出たあとに迎えてくれる、白鳥がたわむれる大きな噴水のある池と、その周りにある森の緑に囲まれながら、そんな余計なことごとを、考えさせられた。

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