探検家、関野吉春が、1993年からあしかけ10年かけて行った、南米最南端から、人類が誕生したアフリカ東部までの長い旅の記録をもとに、国立科学博物館が、特別展を開催した。
その訪れた地域から、アマゾン、アンデス、アラスカ、ゴビ砂漠などの4つのを、熱帯雨林、高地、極北、乾燥地地帯を代表させるものとして、其の地に暮らす人々の様子を、ビデオや生活の道具を使って、会場に再現した。
いずれも、都会暮らしに馴れ切った人間から見ると、生きていくには過酷な環境に見える。しかし、関野が撮影した子供達の顔は、いずれもこちらを見て笑っている。
その文字通りの屈託のない笑顔からは、生物としての、人間としてのたくましさが、ひしひしと伝わってくる。
いずれの地域においても、人々は、命賭けで得た貴重な食料を、お互い分け合って、そして助け合って暮らしている。
そして、何よりも、すべての恩恵は、自然からもたらされている。その自然に対する恐れと畏敬の念を、つねに持ち合わせている。
その長い歴史のほとんどの時間を、人類はこのようにして暮らしてきた。お互いを憎しみ合い、自然からの略奪で生活している現代社会は、つい最近始まった、実に異常な状態であるということがよくわかる。
このような状態が、それほど長く続くとは、どう考えても、思われない。
会場の最後には、タンザニアで発見された、360万年前の猿人の家族が歩いていた足跡から、猿人の姿を復元した像が展示されていた。
私たちは、このままの状態を続けてすぐに滅びるか、この展覧会で紹介された人々のように暮らして、再び自然に帰るか、その2つの選択しかないように思われた。
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